安全保障を考えるのに必需本です。さて、備忘録。
・トランプが訴えるのは移民反対ではなく、不法移民の排除である。
・トランプ政権の考えは「軍拡が戦争を引き起こす」のではなく「国際社会のバランスが崩れたときに戦争は起こる」であり、中国と対抗するために米軍を強化する。
・中国の実際の国防費は36兆から54兆円に上ると見積もられる。米軍は60兆円と圧倒しているように見えるが、世界に軍を派遣しているため、アジアに割り当てられた予算は10数兆円であり、すでに米軍は劣勢になりつつある。
・トランプのリスクや失言は報じるのに、一般教書演説を報じるのが読売だけである日本のマスコミは、ずれている。
・2010年9月に起こった尖閣諸島における漁船体当たり事案と、それに続く日本政権(菅直人民主党政権。現在の立憲民主党の系譜)の弱腰(体当たり船長を釈放し、賠償金を与えた)は、アメリカに失望を与えた。一時期はアメリカと中国で日本を搾取する案がでたほど。アメリカからすれば、自国の領土を守る気がないなら、さっさと属国になったほうがよい。
・中国とアメリカが和解にすすんだニクソン・ショックの原因は、日本にもある。アメリカはソ連と戦うために、日本へ核を含む大国としての独立を促したが、日本国内の「原爆水爆反対運動(中国やソ連の核にはなぜか文句いわない、不思議な人達)」に阻まれ、次善の策として中国と手を結ぶことを選択した。
・アメリカにとって、ともに戦うなら味方。そうでないなら敵。
・ソ連対抗で手を結んだ中国とアメリカは、情報分野で深いやりとりをしている。日本は、この分野で蚊帳の外。北朝鮮に対しても、役に立たない味方の日本より、敵である中国とのやりとりを、アメリカは重視する。
・アメリカは敵と味方を取り違える天才。なので、注意深くアメリカに接し、指導者の動向を見なければならない。
・外交・情報・軍事・経済で考える視点が必要。英語の頭文字をとってDIMEという。これについて論じられた本が「米中もし戦わば」
・中国が今後発展を目指す分野は次の10個。
・半導体、次世代情報技術、AI、航空・宇宙、海洋設備・ハイテク船舶・EV・新エネルギー車、電力設備(原子力)、農業設備、高速鉄道・リニア、新素材、バイオ医療。
・上記の分野で技術を狙っている。日本企業も、不祥事を起こした会社に近づいたり、技術者に接近したりといったことが起こっている。
・アメリカが中国を打倒してくれるなどと思わないこと。アメリカにとって大切なのは中国を軍事的に押さえ込み、市場を開放させ、アメリカが儲けることである。中国の打倒は含まれないことに注意。
・日本で防衛産業はいじめられているが、通常の国際感覚では、防衛産業=ハイテク技術分野なので、力をいれないのはおかしい。
・自国のハイテク産業を守るには、適切な法整備と景気回復(消費税減とインフラ整備)により輸入を増やすこと。
・今後の日本の力は、金。軍備拡大で困窮するアメリカと、混迷のヨーロッパ、経済失速の中国に先んじているのは、内部留保の多い日本。
・米軍との連携で、日本の強みはロジスティック。韓国が反米路線である限り、アジアの米軍は日本が支えるしかないことが、強みとなる。
・アメリカ頼みをやめつつ、アメリカにとって敵に回すと厄介な国を目指すことが、日本の生きる道。米中結託をさけつつ、国力をつけること。独立と平和は与えられるものではなく、勝ち取るもの。
以上です。中身の濃い本で、とても興味深かったです。
やはり、それぞれの目線に立たなければ、国際関係は理解できない。
こんどは「米中もし戦わば」を読もうと思います!
以上の箇条書きから、ピンと来るモノがあれば是非ご購入を!
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