鍵赫 第5話「モモ好きおじさん」

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やっと出たよ鍵アカ三人衆。

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その後大学での平凡な一日を終え、帰宅した。
しかしやけに機嫌がよさそうだったな、慶子さん。
僕に気があるのだろうか?
そんな勘違いをしてしまいそうになるが、自惚れているだけかも知れない。
経験上期待が外れたら、裏切られたときのダメージは大きくなる。
僕は、自分が傷つくことを極端に避ける癖がある。
悲しい性だが、自分で分かっていても、何かと言訳をつけて人を避けてしまう。
好意を持ってくれているだろうと気を許しても、彼氏がいたりするのだ。
だけど、慶子さんにはもっと積極的になってみるべきだろうか?
あんなに話しかけてきてくれる女性なんて、彼女しかいないわけだし。
僕はスマホを取り出し、例のグループを開く。
すると、メッセージが来ていることに気付いた。
「君もモモちゃんが好きなのかい?」
そのメッセージは、例の鍵アカ三人衆の一人、「モモ好きおじさん」からだった。
…なんだよ、慶子さんじゃない、しかもおじさんかよ。
幾分テンションは下がったが、しかしこのグループでは初めてのメッセージだ。
無視するのも人の道に外れている気がするし、適当にあしらおう。
そう決めた僕は、当たり障りのないメッセージを返す。
「初めまして!モモちゃんファンです、知り合いからグループに誘われたので、昨日入りました。」
送信したそばから、返信が来る。
どうやらよっぽど暇なおじさんのようだ、僕はプロフィールで男性を明記しているのにな。
「そうかい!一緒にモモちゃんを盛り上げようねぇ!ところで、君は彼女がいるのかい?」
…なんだ、藪から棒に。
いきなり恋人の有無を聞くか?それも同性に。
「いや、いないですけど…何か問題あるんですか?」
僕はややムッとしながら返信する。本当は慶子さんにメッセージ送りたかったのだけれど。なんでこんなおっさんに…
「すまないね!別に他意はないんだよ。そうかそうか、君も独り身か、私も独り身でね^_^;」
…典型的なおじさん顔文字じゃないか。
今時本物のおじさんを拝むことになるとは思わなかった。
もう良いか、このおじさんへの返信は。
「どうだろう、君が良かったら相互フォローしないか?私は鍵アカウントでね、フォローしてくれないと私のメッセージを君は認識できないんだよ。」
…こんなに早く相互フォロー関係になるのか?
その鍵アカ、むしろ意味があるのか疑問に思いつつ。
特に断る理由もないので、相互フォローになった。
見事おじさんのアカウントを開けることに成功したわけだが、全く感慨深さはなかった。
気付けば、夜も12時を回っている。
僕はスマホを充電器につなぐと、ベッドに潜り込んだ。
明日こそ、慶子さんにメッセージくらい送るか。
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以上です。
これはみとあーと、これはみとあーと…!
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