鍵赫 第4話「鍵アカ」

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鍵アカウントって、なんとなく近寄りがたい。
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慶子さんからグループに誘われた翌朝。
僕は、いつもの如く大学に向かった。
午前中の講義を終え惰性で食堂に向かう。
食堂で昼食をとることに意味もないのだが、なんとなく一人でいることに耐えられない僕は、せめて人混みの中に自分を置こうとしていた。
人混みの中の孤独の方が、人がいない状況での孤独より辛いと言われるけど、僕はそうは思わない。
雰囲気だけでも、賑やかな環境に身を置きたいのだ。
とりとめもないことを考えていると、慶子さんが食堂に入ってくる。相変わらず綺麗な身なりだ。
グループに誘われた後だし、なんとなく意識してしまう。
そんな僕の気持ちを察知したのかはわからないが、慶子さんは話しかけてきてくれた。
「光弘君、こんにちは!昨日はありがとうね!」
話しかけて来るのはわかっていたはずなのに、やはり同年代の女子に話しかけられると緊張する。
声が上ずらないように気をつけながら、返事をする。
「こんにちは、昨日はありがとう。グループ入れたよ、今後ともよろしく。」
「うんうん、よろしくね!グループの人数はまだ少ないんだけど、盛り上げていこうね~」
慶子さんはそう言いながら、僕の隣に座った。
まだ話すことがあるのだろうか?
美人の彼女ができたようで僕は嬉しかったが、なんとなく周りの視線が気になって落ち着かない。
自意識過剰というやつだろうけど。
「そういえば…」
僕は、鍵アカについて聞いてみることにした。
「あのグループ、鍵かけている人もいるよね。なんでだろ。ファングループなら、鍵かける意味もないだろうし…」
「あぁ、何人かいるよね。3人…だったかな?私も全員と知り合いってわけじゃないから、詳しくは知らないんだけどね~」
「知り合いじゃない人もいるんだ。まぁそりゃそうか…」
なんとなくだが。
彼女の表情が一瞬曇ったように感じた僕は、話題を変えようとした。
「昨日のモモンゴちゃんの配信見…」
「光弘君。鍵アカってさ、なんとなく覗きたくならない?私は気になっちゃうほうなんだよねぇ」
不意に遮られ、僕は慌てて話を合わせる。
「あぁ…まあ、なんとなく後ろめたいとか、人に言えないことがあるのかな、とは思うけど…無理矢理みたいとは思わないかな」
しまった。
適当に鍵アカに興味があるようにすれば良かったか。
つい、自分自身があまり干渉されたくない性格なこともあって、否定的な返事をしてしまった。
「うんうん、無理矢理は良くないよね!」
慶子さんはそう言うと、僕を覗き込む。相変わらず綺麗な瞳だが、見透かされそうで空恐ろしくもなる。
「じゃ、またね!」
彼女は機嫌が良さそうに、食堂から去った。
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以上です。やっと…序盤終了!
あと5話くらいで完結予定です。
そしてこれは「みとあーと」なので、何回でも月ノ美兎様の商品を紹介するぞぉーーーー!
月ノさんのノート読んでいただきありがとうございました!感想などコメントいただけると嬉しいです!