鍵赫 第2話「好きな動画は…」

第1話の閲覧ありがとうございます、励みになっております。
ぶっちゃけハッシュタグ「みとあーと」に該当しない気がするんですが、今のところ苦情はきていません。
そんな第1話はこちらから。
例によって、月ノ美兎様のご発言より着想を得た恋愛小説です。
第2話、「好きな動画は…」はじめます。
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どんな動画見てる、か。
正直、僕みたいな人間が回答するのに一番気を遣う質問だ。
まだ好きな芸能人とか、アイドル聞かれた方がマシ。
あんまり知らない、で済ませられるからだ。
だが、動画サイトを見てると答えた手前、答えないわけにもいかない。
「うーん…マイナーなのばっかりだよ。たぶん、慶子さんは知らないと思うけど…」
僕は、あからさまに拒絶してみせた、つもりだった。
「へぇー!マイナーなのが好きなのね。私はけっこうオタク趣味なんだよ、最近はVtuberなんか見てる!」
「え…Vtuberって、あのバーチャルの人?」
「そうそう、知ってるの?」
あまりにも予想外な、慶子さんの発言にあっけにとられた。
こんな普通の、いやきれい目な女子大生がVtuberを見る時代なのか。
てっきり女子大生が見るのは有名な配信者、まああっても歌い手くらいだろうと思ったが…
「僕もVtuber見てるよ。ゲーム実況とか雑談とか、ながら見できるから。」
慶子さんは目を輝かせ、その綺麗な顔をますます近づける。
その瞳に吸い込まれそうな感覚を覚えつつ、僕は質問する。
「慶子さんは、ちなみに誰の配信を見てるの?」
「私はねぇ~…いろいろ見てるけど、最近は周央モモンゴちゃんかな!」
「え!?モモンゴちゃん?噓でしょ?」
僕はこれまで20年近く生きてきたが、一番に近いくらいの心理的衝撃を感じた。
周央モモンゴ。
流行りのVtuber業界の中でも、かなり異質な存在だ。
見た目は可愛い女の子だが、口を開くと超高速で呪文のようにオタク趣味を展開する、独自路線を突き進む配信者。
はっきり言って、ディープな層しか見ないだろう。ライト層なら、たぶんついていけない。
しかし、奇しくもそれは、僕の推しでもあった。
「…僕もモモンゴリスナーだよ、可愛いよね。でも、めちゃめちゃマニアックじゃない?」
慶子さんは、その大きな瞳の瞳孔を、これでもかと大きくする。生理的な反応のはずだけど、自在に操っているかのように。
「マニアックなのがいいんじゃない!でも君も好きなんて、なんか運命的じゃない!?グループ誘っていい?一緒に推し活、しようよ~」
僕に断る理由もなく、「幸せの文鳥」を開いた。
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以上です。次回第3話です!
こちら神本、是非。飛びます。
ちなみに周央モモンゴさんのモデルは、周央サンゴ様です。好き。
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