2日目昼編。前回記事はこちら。
----
折しも猛吹雪が続く屋敷。時刻は正午となっていた。モビーの遺体を外に出したことで、惨劇の余韻も収まりつつあった。
スーザン「朝からなんにも食べていないな…」
スーザンはそういうと、冷蔵庫を覗きこむ。大型の冷蔵庫には、しばらく食べていけるであろう大量の食料が並べられたいた。
フェイ「そうだね…落ち着いたらおなか減っちゃった…」
トーマス「フェイや、少しは落ち着いたようじゃな。粥でも作ろうかのう…」
トーマスは食事を作る作業に入る。
マリアンヌ「…では私も…」
マリアンヌはそういうと、冷蔵庫から食材を取り出す。
チャン「ジェイさん。この状況どう思う?」
チャンは、比較的常識人に見えたジェイに問いかける。
ジェイ「まさか、この中に殺人鬼がいるとは…思えませんが。惨たらしい死体をみたでしょう?あんなことが出来る人間はいませんよ。ひとまず天候の回復を待ちましょう。人狼ゲームなぞ放っておけばよいでしょう。」
そういうと、ジェイは椅子に腰掛ける。
チャン「…なんとも暢気ですなぁ…しかし明日になったら、天気が回復するかも知れない。それまでなんとか過ごしますか…」
チャンはジェイの隣に座ると、疲れたらしく背もたれに寄りかかった。
ロディ「ねえねえアンナ!こんなことになるとはね!ちょっと楽しくない!?」
ロディは楽しげにアンナに話しかける。
アンナ「あなた何言ってるの?モビーさんが死んでるのよ?信じられないわ…」
アンナはロディの態度にあきれたように首を振る。
マイク「おい…ロディ?お前まさか…人狼じゃねえだろうな?」
マイクは鋭い目でロディをにらむ。
ロディ「ええ?まっさか。あんなのゲームの話だろ?それに僕は人狼じゃないよ。君こそ乱暴な態度だけど、なんか怪しいよ?」
マイク「…なんだと?」
マイクとロディが互いに喧嘩腰になるのを、スーザンが止める。
スーザン「ちっ、揉めてんじゃないよ!こっちは状況がわからなくてイライラしてんだ、ケンカなら外でやんな!」
それを聞くとマイクとロディは、距離を置いた。
トーマス「皆さん、簡単なものじゃが食事が出来たぞい。少し落ち着いて腹ごしらえでもしよう」
全員空腹だったらしく、ロビーで食事が始まった。
チャン「さて、これからのことですが。食事が終わったあとも、皆さんこのまま極力ロビーにおりましょう。お手洗いなども2人以上で行くように」
チャンは食事をとりながら提案する。今朝の惨状の後だ、誰からも異論は出なかった。
マリアンヌ「ところで…お料理している時にこんなものを見つけたのですが…」
マリアンヌはそういうと、投票用紙と投票箱、それから拳銃を食器棚から取り出した。
マイク「おいおいそれは…本物の拳銃か?」
ジェイは拳銃を手に取って確かめる。
ジェイ「…本物だ。弾も実弾のようだね…」
アンナ「え…どういうことなの?さっきの投票による処刑ってまさか…」
フェイ「まるでホラーみたい。でも、そうしろってことなのかもね…」
スーザン「そんな…人殺しをしろっての!?ふざけんなよ!」
明らかな動揺が一同に走る。
トーマス「これ、落ち着きなさい。人狼ゲームの投票なんてする必要もないじゃろう。しかしこの中にモビーさんを襲った犯人がいるやも知れぬ。儂らにできることは、これ以上犠牲者を出さないよう、集団行動をするだけじゃろうが?」
チャン「トーマスさんの言うとおりだ。この話はもうよそう。夜になって部屋に戻るまでは、集団行動をお願いする」
そう言い終わると、チャンは食事を続ける。
投票などせずに夜を迎える。
2日目の昼、議論の時間はそれで終わった。