ああ穴掘軍隊、弾痕物語~俺の臀は貴様と共に~第14話
2020年6月9日

第14話。試験はパスしたが…
前回記事はこちら。
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立ち去ろうとする木村に、二郎が質問する。
「あの、木村さん!さっきのは一体…」
「…気にするな、そのうち日常になる」
木村はそう言い放つと、教官室を出て行く。
「…二郎、俺たちも行こうぜ」
三四郎は二郎に声をかける。
「わかった、とりあえず寮に戻ろう…」
二郎は小声で返事をするのが精一杯だった。
寮に戻る途中、二人はそこかしこで「事件の事後処理」を見たが、誰も二人に話しかける者はいなかった。
自室に帰った二人は、一息つく。
「やれやれ、ちょっとは休めるのかねぇ…」
三四郎が小言を言いながら、ベッドに横になる。
「うん…何もしていないけど、僕も少し疲れたな…」
二郎も三四郎にならい、自分のベッドに腰掛ける。
二郎は今日合った出来事を振り返る。
同性愛の強要に、謎の事件。そして、目の前での人の死。
二郎にとって、いずれの事柄も経験したことのないものだった。
考えてもみれば当然だった。
田舎暮らしの二郎にとって、軍隊に入るということは、未知の世界への挑戦そのものだ。
しかし、まさか初日からこうも押し寄せるものか。
二郎はこれから先の生活に不安を覚えるのであった。
「おい二郎、寝てんのか?」
気が付くと、二郎はベッドに横になりうたた寝をしていた。
「なんだ、意外と根性すわってんじゃねえか、こいつ…」
三四郎も毒づくと、一眠りすることにした…