ああ穴掘軍隊、弾痕物語~俺の臀は貴様と共に~第4話

第4話。荷解き荷解き。前回記事はこちら。
北島に促された二人は、荷解きを始める。
「やれやれ…」
三四郎はため息をつきながら、荷物を整理する。
二郎はそれを見ると、遅れまいとロッカーを開く。
ロッカーには、最低限のハンガーや手鏡が備え付けられていた。
ベットに目を向けると、粗末なマットが置いてあるだけで、寝具らしきものは無かった。
「あのーすみません北島さん」
二郎は申し訳なさそうに北島に声をかける。
「ベットマットはあるんですが、布団やシーツはどちらにあるんしでしょうか?」
北島は気だるげに答える。
「ん?あ、そうか。お前らベットつったら母ちゃんが準備してくれると思ってんだよな。いいか、ここでは自分でシーツを張って、毛布に布団カバーをかけて、ベットメイクをするんだ。」
そういうと、北島は自分のベットを使って丁寧に説明を始めた。
「っと、大体こんなもんだ。まあまだ細かくは言われねえから、適当にやんな」
そうこうしているうちに、荷解きが終わった二人は、生まれて初めて軍服を身にまとった。
二人ともお互いの姿を見て、似合っていないことに気づくと笑いあった。
「ぷっ、お前…似合わねえな…」
三四郎が呟く。
「君こそ悲惨だぞ、それ!」
二郎も負けじと切り返す。つい二人とも笑顔になっていた。
「おう、終わったようだな。なかなか似合うじゃねえか、そのうち慣れるさ!」
北島が口を挟むと、二人は雑談を止める。
「さて、訓練所にいくか!最初はそんなにキツくないから、安心しな」
部屋を出て訓練所に向かう北島についていく新兵の二人。
「なあ、どうなんだろうな、噂の穴堀軍ってのは?」
三四郎が二郎に静かに聞く。
「さあ…いきなり殺されることは無いだろうけど…不安だね」
二郎は言いながら、自分が後戻り出来ない道に来たことを実感した。
なにせクーデターで政権を奪ったばかりの軍隊だ。何が起きるかわからない。
しかし、この道で生きていくしかない。
そんな青年の決意だった。