第3話。無事教育所に案内されることとなった二人。前回記事はこちら。
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穴堀軍の教育所。
つい先日クーデターを成功させたばかりの軍隊だけあって、教育所は異様な熱気に包まれていた…
二郎の三四郎は、案内の軍曹に連れられて、入門する。昨日募集所で対応した軍人とは、また別の人間だ。
「お疲れ様です!」
門番が元気よく軍曹に敬礼をする。
「おう、ご苦労さん!」
軍曹は答礼を返すと、教育所の中をズカズカと歩いていく。
遅れまいと二人も慌てて追いかけるが、早歩きでも着いていくのがやっとだった。
「ふう、随分速いな。三四郎君、大丈夫かい?」
二郎は声をかける。
「ふん。これくらい余裕だろ…」
三四郎は強がって二郎に答える。
そんなやりとりをするうちに、教育所の中でも一際目立つ建物に辿り着いていた。
「おう、坊主たち!こっちこい!」
軍曹はそう声をかけると、その建物に入っていく。
建物の周りでは、いかにも屈強そうな男達が屯していた。
軍曹は二人を部屋に案内すると、説明を始める。
「いいか、今日からここが坊主たちの部屋だ。おっと、君達と言った方が上品か。そこにロッカーがあるから、自由に使え」
軍曹はそういいながら、ロッカーからダンボールを取り出す。
「そしてこれが、君達の制服やらだ。穴堀軍は規律にうるさいからな。これからしっかりするように!」
二郎は、部屋にベットが三つあることに気付く。
「はい!軍曹殿、ありがとうございます!ところで、ここは三人部屋、でありますか?」
軍曹は笑って頷く。
「お、よく気付いたな!察しがよろしい。そのとおり、俺もこの部屋に住む。まあ君達の御目付け役ってところさ。なんでも聞いてくれ」
三四郎が口を挟む。
「へえ…軍曹殿がわざわざ、新人と一緒に生活するんですか?」
軍曹は答える。
「ああ、普通はもっと若いやつがいるんだけどな。先の内乱で、出払ってるのさ。我慢してくれ」
三四郎は納得がいった様子で頷く。
「さて、まだ自己紹介をしてなかったな?俺は北島軍曹だ。こう見えて三十歳だ、よろしく」
北島はそういうと、二人に握手を求めた。
二郎も三四郎も、北島の鍛え上げられた手に驚きつつ、応じたのだった。
これが、軍人の手か。二郎はぼんやりと憧れを抱いたのであった。
「じゃ、二人とも荷解きして、準備が出来たら教えてくれ。今度は訓練所に案内してやる」
そういうと、北島はベットに寝転んだ。