第25話、夜が明けて…忠男目線。
前回記事はこちら。
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夜が明けて、今日は土曜日。
幸いなことに、僕も愛菜も仕事は休みだ。
僕はリビングでお茶を飲んでいた。
昨日、結局あれから一言も交わすことは無かった。愛菜はベッドから動くことはなく、僕はいつの間にか眠っていて。
「…おはよう、忠男君」
愛菜が部屋から出てくる。
「おはよう、愛菜。珍しいね、君が僕より遅く起きてくるなんて」
愛菜は普段、僕より早く起きていた。女性だから、化粧やらで忙しいんだろう。しかし、今日は僕の方が早かった。
何もかもが違和感だ。きっと、あの晩何かあったに違いない。
「なあ愛菜。何か悩み事があるんじゃないのかな?」
「…」
愛菜は黙りこくって、洗面所に向かう。
聞こえているはず…なんだけど。
まあ、少し待とう。
僕はお茶に口をつけ、平静を保つことにした。
そうこうするうちにシャワーの音がする。
今、シャワーを浴びる理由ってなんだ?
何かの痕跡を消そうとしてるのか?